はじめに
Debian(デビアン)は、オープンソースの代表格とも言えるLinuxディストリビューションのひとつです。
安定性・信頼性・セキュリティの高さから、サーバー運用や開発基盤、さらには他の多くのディストリビューション(Ubuntuなど)のベースとしても広く利用されています。
本記事では、Debianの基本的な特徴から、実際にDocker上で動かして学ぶハンズオンまでを通して、Debianの魅力を体験します。
Debianの特徴
1. 安定性と長期サポート
Debianは「Stable」「Testing」「Unstable」の3つのリリースチャンネルを持ち、特にStable版は非常に堅牢です。企業サーバーやインフラに採用される理由の一つが、この安定性です。
2. 豊富なパッケージとAPT管理
apt
コマンドを利用して簡単にソフトウェアのインストールや更新が可能です。
公式リポジトリには60,000以上のパッケージが登録されています。
3. オープンソースとコミュニティ主導
Debianは非営利組織によって管理され、世界中のボランティアが開発・保守に関わっています。
そのため、商用ディストリビューションと違い純粋なFOSS哲学に基づいた設計になっています。
環境構築(ハンズオン)
ここでは、Dockerを使ってローカル環境でDebianを体験します。
Dockerを使うことで、既存環境を壊さずに気軽に学習できます。
ステップ1:Debianコンテナを起動
docker run -it --name debian-handson debian:latest bash
このコマンドで、最新版のDebianを取得し、bashシェルに入ります。
ステップ2:基本コマンドを確認
コンテナ内で以下を実行してみましょう。
# バージョン確認
cat /etc/debian_version
# OS情報確認
lsb_release -a # もしくは apt install lsb-release で導入
# パッケージ更新
apt update && apt upgrade -y
# 必要ツールの導入例
apt install -y vim curl wget
ステップ3:パッケージ検索とインストール
Debianのパッケージ管理の基本は apt
です。
# パッケージ検索
apt search python3
# Python3のインストール
apt install -y python3
# 実行確認
python3 --version
ステップ4:ユーザー管理とプロセス確認
# 新規ユーザー作成
useradd -m devuser
passwd devuser
# 現在のユーザー確認
whoami
# 実行中のプロセス確認
ps aux | head
ステップ5:コンテナを終了・再開する
# 終了
exit
# 再起動
docker start -ai debian-handson
これでいつでも再開できるDebianの学習環境が完成しました。
Debianで学ぶLinuxの基礎
Debianは、シンプルな構成ゆえにLinuxの基本を学ぶ教材として最適です。
Red Hat系(RHELやCentOS)と異なるコマンド体系を理解することで、Linuxスキルの幅を広げられます。
分野 | Debian系のコマンド | Red Hat系のコマンド |
---|---|---|
パッケージ管理 | apt / dpkg | yum / dnf / rpm |
サービス管理 | systemctl | systemctl |
設定ファイル場所 | /etc/apt/ | /etc/yum.repos.d/ |
まとめと次のステップ
本記事では、Debianの特徴を理解し、Docker上で実際に操作してみました。
Debianを使うことで、Linuxの原点とも言える構成や設計思想を体感できます。
次のステップとしておすすめ
systemd
のサービス管理を学ぶ (systemctl
の実践)apt
の高度な使い方(リポジトリ追加やdpkgの活用)- DebianでNginxやMariaDBなどのサーバー構築を試す
- DockerfileでDebianベースの独自環境を構築してみる
おわりに
Debianは派手さこそありませんが、その堅牢さと信頼性は群を抜いています。
Ubuntuなどのディストリビューションを使っている方も、Debianを理解することで「Linuxの本質」に一歩近づけるでしょう。
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